NISA(ニーサ)の基本的な内容やメリット・デメリットについて
2022年8月現在、NISAの利用者数は1,000万を超え、2,000万人に近づこうとしています。
そんな中、「自分も始めたいけどNISAがどのようなものか具体的には分からない」といった方は、まだまだ多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、NISAの基本的な内容やメリット・デメリットなどについて解説していきます。
NISAとは
まず、NISAという名前は「少額投資非課税制度」という制度の通称です。
また、NISAは証券口座の一種でもあります。金融機関でNISA口座を開設し、株式や投資信託などの金融商品を購入することで、運用益が非課税になるなどの税制度の優遇を受けることができます。
NISAの種類と違いについて
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があり、投資上限額や非課税期間などの内容が異なります。
また、NISAでは、一般NISAとつみたてNISAの、どちらか1つしか口座を開設できないので、自分が行う投資のスタイルに合った方を選ぶ必要があります。
一般NISA | つみたてNISA | |
対象年齢 | 20歳以上※2023年1月1日以降は18歳 | 20歳以上※2023年1月1日以降は18歳 |
年間投資上限額 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年 | 20年 |
選べる対象商品 | 上場株式、ETF(上場投資信託)、投資信託、REITなど | 国が定めた基準を満たした投資信託 |
投資可能期間 | 2018年~2037年 | 2014年~2023年 |
NISAの特徴やルール
口座開設後は自分で購入する金融商品を選ぶ
NISA口座開設後は、NISAの対象となっている金融商品から好きなものを選び購入します。
※つみたてNISAの場合は、「購入する投資信託」「毎月の積立金額」を設定し、自動積立方式で購入します。
運用益が非課税
通常、株式や投資信託などの金融商品では、値上がりした時の売却益(譲渡益)、配当金や普通分配金などに対して「20.315%」の税金が課税されます。
一方、NISA口座で購入した金融商品は、すべての利益が非課税となります。
非課税枠の未使用分は繰越せない
NISAには繰越しの制度がないため、使っていない非課税枠を次年度に繰越すことはできません。仮に一般NISAで年間50万円分しか金融商品を購入しなかった場合でも、次年度の非課税枠は120万円のままになります。
別の口座からNISA口座には移行できない
特定口座など、NISA口座以外の口座で株式や投資信託を保有している場合、NISA口座に移行することはできません。
ですので、NISA口座で保有したい場合は、一度売却してからNISA口座で再び購入する必要があります。
非課税期間終了後はロールオーバーできる
NISAで購入した金融商品が非課税期間(一般NISAは5年、つみたてNISAは20年)を終了した際は、その年度の非課税枠を利用して移し替えること(ロールオーバー)ができます。
ただし、ロールオーバーで利用した非課税枠は使えなくなります。
(例)一般NISAで保有している50万円分の株式をロールオーバーした場合、その年の残りの非課税枠は70万円となります。
金融機関の変更は年1回できる
NISAでは、「SBI証券→楽天証券」のように、金融機関の変更を年に1回行うことができます。
口座の切り替えは年1回できる
NISAでは、「一般NISA→つみたてNISA」のように、NISA口座に切り替えを年に1回行うことができます。
NISAのメリット
確定申告が不要
通常、株式や投資信託で利益が出た場合、確定申告をする必要がありますが、NISAでは確定申告は不要です。
口座の開設料や管理料がかからない
NISAで発生する手数料は、金融商品購入時の「購入手数料」、投資信託を保有している際の「信託報酬」などだけになります。
口座の開設費用や管理料は一切かからないようになっているので、NISAを始めるか悩んでいる方でも、気軽に口座開設だけ行うことができます。
いつでも現金化できる
NISAでは、いつでも保有している株式や投資信託を売却して現金化できるほか、口座からの出金もいつでも行うことができます。
NISAのデメリット
損益通算ができない
NISA口座では損益通算ができないため、NISA口座以外の口座でも投資を行っている方は注意が必要です。
損益通算というのは、利益と損失(損益)を合算できる仕組みのことです。
分かりやすいように以下の表にまとめてみました。
損益通算できる場合 | |
口座Aの損益 | +100万円 |
口座Bの損益 | -50万円 |
申告する利益 | 50万円 |
NISA口座の場合 | |
口座Aの損益 | +100万円 |
NISA口座の損益 | -50万円 |
申告する利益 | 100万円 |
このようにNISA口座と他の口座を併用している場合、損益通算ができないため、同じ損益でも、申告する利益額が増えてしまいます。
損失の繰越控除ができない
繰越控除とは、株式や投資信託の売却によって損失が出たとき、その損失分を3年間繰り越し、その間に出た利益に控除(相殺)できる制度です。
NISA口座では、この繰越控除ができないため、損失を出した次年度以降の3年間にNISA口座以外で利益を出したとしても、損失を控除することができません。
ただ、こちらもNISA口座だけで投資を行っている方は、気にしなくても大丈夫です。